「2016年 第6回 スペシャルオリンピックス日本 冬季ナショナルゲーム・新潟」に寄せて
高井 進
果てしない海、広大な空と大地。
多様な生き物がそこに生まれ育つ地球。
地球は生命を宿し、すべてのものは生命でつながっています。
その地球で素晴らしい活動が展開されています。
それがスペシャルオリンピックスです。
私は、20数年前から障がいを持つ人々と、陶芸を通しての御縁があり、日本のスペシャルオリンピックスの創始者である細川佳代子様とも御親交の縁があった関係で、約10年前にスペシャルオリンピックス日本・新潟が設立された際には、微力ながらお手伝いをさせて頂いておりました。
そのような関係で平山様とも現職の県知事時代からのお付き合いもあり、現在に至っております。
そんな中で、昨年の暮れに、平山様から今回の聖火台の話があり、私の心の中になにか運命的なものを感じて、これは俺がやらないといけないという気持ちで、お受けすることに致しました。
ところが、その時は、この大会が2月12日から始まることを全く知りませんで、これは全力でやらないとだめだと必死で制作を開始しました。もとより陶芸は、土を相手の自然との勝負なので、それなりの時間が必要なのです。
大会に参加する選手の一生の思い出として、心の奥底に沁み込む聖火台にしたい、ということが、私がこの聖火台制作にあたっての一番の願いです。
2011年のあの東北大震災の直後に、前回の冬季ナショナルゲームを福島で開催したスペシャルオリンピックスのエネルギーと情熱、それを受けての今回新潟県で初めて開催される全国大会の意義をどう形にして伝えるか。そして何よりも大事なスペシャルオリンピックスが目指している「障がいのある人も障がいのない人も共に生きる社会の実現」をどう伝えるかを胸に制作に取り掛かりました。
土台部分には、東北大震災被災地の陸前高田の土を使い、胴体部分には新潟万代島の砂を使うことで、福島大会・新潟大会へと繋がる冬季大会であることを示し、基本的な造形として「方円構造」を採用することで共生社会づくりを目指すスペシャルオリピックスの精神を伝える事としました。
聖火台全体としては土台部分である大地、胴体部分である海、聖火をともす空の3つで構成することで、すべてが生命で繋がっている地球、多様な生き物がそこに生まれ育つ地球、そこで展開されているスペシャルオリンピックスの崇高な活動を象徴しています。
「水は方円に従う」という言葉のように、この聖火台を見た人の心が、障がいのある人も障がいのない人も、方円に従う水のように素直に、自然にひとつになることで、素晴らしい世界が実現することを願っております。」
素敵な想いだと思います。そんな聖火台に見守られて競技できるのはうれしいことですね。